絵画というものは、そこで見えるものをありのまま描けばよいというものではない。ありのまま描くのが目的なば、写真に撮ればよい。小学生の頃、絵の恩師にそう教わりました。
学生や素人の作品には「こうしたらもっと良くなるのに」と思える点がよく見つかります。それは色だったり、配置だったり、余計なものが書かれている(消した方が良い)など様々です。そういった点は有名な名画ではめったに見られませんが、個人的に気になる作品が1つだけあります。
写真はルノワールの「じょうろを持つ少女」の複製画(引用元:プリハード)。色がおかしかったので少し修正してあります。名画にケチをつもりはありませんが、私が気になるのは少女の肩の左側に見える「草」です。
この絵を描いた時、おそらくそこに草があったに違いありません。それをそのまま描くか、ネグるかは、画家の感性に委ねられます。
もし私が似たような絵を書いたなら、ここに草は描きません。どーしてもここに草が必要なら、少女を挟んだ右下対角に少し小さめの草を追加するでしょう。
ただ良く見ると頭の右上に小さな植栽があり、草はこれと対角に対をなしています。草がもう少しだけ目立たなければ違和感がなかったかもしれません。
絵画は何度も修正を繰り返して、もう直すところが見当たらない、そう判断したときに完成します。ルノワールは、これがベストと判断をしたはず。 とすると、違和感は印刷の絵を見ているせいかもしれません。印刷と本物は、別物と思えるくらい見た目に差があります。
<参考購入先>
ルノワールの複製画 最近はとても高度な技術で複製されています。でも本物と複製との間には、未だに超えられない壁があります。本物を見る機会があれば、ぜひご覧になることをお勧めします。